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「ベトナム在住VIT Japan猪谷氏に聞く技能実習生事情」シリーズ第5弾。 今回は「ベトナムの日本語教育事情」について伺いました。
ベトナムの日本語教育の現状
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ベトナムの日本語教育事情について教えて下さい。
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現在行われているベトナムでの日本語教育は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、大学などの日本語学科で学ぶケースです。
2つ目は、日本に行くための日本語学校です。
3つ目は、ベトナム国内で日本語を使うための日本語学校です。
詳しく説明しますと、1つ目の大学などで学ぶケースは、例えばホーチミン市人文社会科学大学などで、ホーチミン市人文社会大学ですと、卒業する時にはN2(※)を取得している人が半分くらいいます。日本で言えば東京外国語大学をイメージしていただけたらわかりやすいかと思います。
2つ目の日本に行くための日本語学校に関しましては、技能実習生が実習前に行う日本語教育がわかりやすいかと思います。技能実習生は、6ヶ月間日本語学校で日本語を学んだ後に日本へ行くわけですが、建前ではN5(※)の取得を目指しましょうとされておりますが、実際にN5のレベルに到達するのは1割にも満たないと思います。技能実習生だけじゃなく、日本に留学するための準備として日本語学校に行く場合も見られますが、大学に編入するようなケースですと日本での勉強についていかなければならないので、N2目指して勉強してる方々もいらっしゃいます。
3つ目のベトナム国内で日本を使うためというケースは、例えば日本人の彼氏ができたとか、日本人相手の夜のお店で働いているといったケースですね。一時期から日本人向けのガールズバーが流行り、多い時では200軒以上同じエリアに集中していました。昼間は学校で日本語を学び、夜はお店で働く人もいます。あとは、すぐに留学が決まっているわけではないけど、例えばアニメに興味があっていつか日本に行きたいみたいな人も、日本語学校に通って日本語を学んでいたりしますね。
高校で第二外国語として日本語を習うケースもあるようで、そのまま日本語に興味を持ち、さらに学ぶ子もいるようです。
※
国際交流基金と日本国際教育支援協会が運営する日本語能力試験のことで、一番やさしいレベルがN5で、一番難しいレベルがN1です。
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技能実習生の日本語教育事情について教えて下さい。
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例えばエンジニアとして日本企業で働く場合は、N3が理想で最低でもN4は取得して欲しいというケースも多いようなのですが、技能実習に関しましては、日本語が話せなくても業務出来る仕組みがある程度整っているケースが多く、企業もある程度日本語ができない人材が来ることを見越して事前に動いているようです。
20年前でしたら、ベトナム国内でも優秀な人が技能実習生として日本に送られておりましたが、現在はクラスでも真ん中より下の方の成績の人が技能実習生として日本に送り出されておりますので、そもそも勉強自体が苦手だったりします。
勉強が苦手な子が半年でN5を取得するなんてなかなか難しいので、以前お話したように実習中にバリバリ働けるように体力づくりをしていたりします(笑)
以前の記事
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技能実習生として日本に来る人は日本語をあまり学んでいないというようなことがある一方で、一時期と比べると減りましたが、ベトナム人の留学先として日本が人気とも聞きます。どうして日本が留学先として人気なのでしょうか?
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日本は留学生にアルバイトを認めているため、学費や生活費を稼ぎながら学校に通うことができるという部分が人気の一つかと思います。
地方にある、日本人の間ではあまり名の知られていないような大学が、ベトナムの日本語学校と提携しているというケースもあるようで、大学側も経営破綻しないように外国人留学生を積極的に受け入れていたりするようです。
ベトナム人にしてみれば、お金を稼ぎながら大卒になれるというメリットがありますので、留学先として日本が人気になっている現状があります。
大学側もアカデミーというよりは、ビジネスに近い感覚になっているのかも知れないですね。また、大学のある地元も留学生が来てくれることで、若い人口が増え、アルバイトの確保や下宿等々経済が回るので、日本人入学者が減ってるのであれば留学生を多く受け入れて欲しいと考えている人も結構いるようです。
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猪谷さん、今回も貴重なお話ありがとうございました。
株式会社VIT Japan 代表取締役
猪谷 太栄 氏 (Inotani Takahide)
大学卒業後、関西の大手私鉄会社に就職。その後、ベンチャー企業支援コンサルタントに転職し、アジアへの進出支援、ビジネスマッチングイベントのプロデュースも行う。2005年、上海起業家登龍門、2007年にホーチミン起業家登龍門をプロデュース。その際、ベトナムの成長可能性を大きく感じ、2010年3月株式会社VIT Japan設立。以来ベトナムにて活動中。
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