
「ベトナム在住VIT Japan猪谷氏に聞く技能実習生事情」シリーズ第10弾。
今回は、ベトナム人の飲みにケーション事情についてお話を伺いました。

日本人同士の中では、職場の人との飲みにケーションは少なくなってきたようですが、ベトナム人の飲みにケーション事情についてお伺いさせて下さい。

色々な受け入れ企業を見ておりますと、多いところで月1回くらい食事会を開催しておりますね。少ないところだと忘年会だけというところもあります。ベトナム人は飲みにケーションのようなウェットな付き合いを好む傾向にあるので、多く開催した方がいいという印象ですね。多く開催してる会社ほど、逃亡も少ないような気がします。
日本に来て間もないと、どこで何をしていいかわからないので、細かいコミュニケーションは大事になります。人と人との繋がりですので、言語の壁もあったりしますが「自分を見てくれてる」と思ってもらえると、信頼関係を築きやすいです。
ただ、会社の規模にもよりますが、たくさん採用しているところとかになると、なかなか多く開催するのは難しくなりますし、小さいところだとしてもしょっちゅう開催していると、企画する総務の負担が大きくなってしまいます。
毎回毎回大それた企画などの準備は必要ないので、ふらっと社長とかが「今日飲みに行く?」と誘ってあげる事が大事なのではないかと思います。そうすることによって、悪の道に進んでしまうのを防いであげることにも繋がります。日本に来て孤独を感じたまま放っておくと、スマホを使ってSNSなどで近くにいるベトナム人と繋がろうとしたりします。始めは優しくしてもらったりしていても、その優しさには裏があるケースも少なくなく、実は不法滞在者のグループで悪事を手伝わされたり、そのまま博打の世界に足を踏み入れられて大きな借金を背負わされてたなんて事例もあります。(関連記事:技能実習生の帰国後は?② ~失踪後~)そうならないためにも、普段から飲みに誘ってみたりとかして、気にかけてみることをおすすめします。
今日本では、若い世代を飲みに誘うとハラスメントと呼ばれたりするようですが、ベトナム人は誘ったら喜んで来てくれます。そこら辺は、日本の30~40年前の感覚で誘ってみて問題ないと思います。

確かに今の日本で若手社員なんかを飲みに誘ったりしたら「その時間は給料発生するんですか?」って言われちゃうとか聞きますよね(笑)ちなみに、社員旅行なんかも喜ばれるのでしょうか?

そうですね。社員旅行も今現在の日本ではあまり聞かなくなってはきましたが、日本にいる時に観光させてあげたいと思ってる社長さんは連れてってくれてるみたいですね。大阪に技能実習に行ったはずなのに、「北海道に行きました」と言ってる実習生もいたくらいでした。先ほども申し上げた通り、今の日本では社員旅行もあまり喜ばれなくなってしまったので、社長としても昔当たり前だったことを今受け入れてくれる社員みたいな感覚で、実習生を可愛がってくれていたりもします。
社員旅行だけではなく、昔あったボーリングなどの社員レクリエーションも喜んだりします。あとは、社内フットサルチームを作ったりしてコミュニケーションをはかってる会社さんもあります。ベトナム人はサッカー好きも多いので、とても熱中して取り組んでいたようです。

そうなんですね!ベトナム人がサッカー好きとは知りませんでした。日本では飲みにケーションは少なくなったようですが、ベトナム人と信頼関係を構築するためには有効みたいですね。本日もありがとうございました。
株式会社VIT Japan 代表取締役
猪谷 太栄 氏 (Inotani Takahide)
大学卒業後、関西の大手私鉄会社に就職。その後、ベンチャー企業支援コンサルタントに転職し、アジアへの進出支援、ビジネスマッチングイベントのプロデュースも行う。2005年、上海起業家登龍門、2007年にホーチミン起業家登龍門をプロデュース。その際、ベトナムの成長可能性を大きく感じ、2010年3月株式会社VIT Japan設立。以来ベトナムにて活動中。
