技能実習法をわかりやすく解説!制定の背景から受入れの流れまで

G-Worker

深刻な人手不足に悩む日本で最近注目されているのが「技能実習制度」です。

とはいえ、名前だけは知っているけれどどんな制度なのかは知らないという方も多いもの。

この記事では、技能実習法ができた背景や制度のポイントを解説し、受け入れ可能な業種や受入れの流れなど基本的なことをわかりやすく説明していきます。

技能実習法ができた背景

技能実習制度自体は1993年に創設されました。しかし、当時は関係者の責務が曖昧であったり、技能実習生の保護が不十分で最低賃金で働き手を酷使させたりと、多くの問題が見られました。

それまでは「国際研修協力機構 (JITCO)」という機関が業務を担っていましたが、法改正を受けて「外国人技能実習機構(OTIT)」が創設され、業務や権限の強化がなされたのです。

技能実習法の変更点

それでは、具体的にどのような点が変更されたのか解説していきます。

技能実習計画が認定制に

以前は、技能実習計画の作成や、習得した技能等の確認は必要でしたが、評価したり審査したりする機関がありませんでした。

現在はOTITが技能実習生ごとに作成された実習計画の適正度を審査し、適正であると認められる必要があります。

実習実施者の届出が必要に

外国人の技能実習生を受け入れる場合は、事前にハローワークへ届出を行います。

監理団体についても、認可制に変更されています。虚偽の届出や申告漏れが合った場合にも罰金が科せられるので覚えておくと良いでしょう。

また、法改正以前は機関に行政指導をする権利がなく、ずさんな運営をしている監理団体も散見されていました。

法改正後は「指示に従わない監理団体は許可取消」といった処分が可能になっています。

優良な実習実施者や監理団体への優遇措置

優良であると認められた実習実施者や監理団体には、実習期間の延長や受け入れ人数枠。対象職種の拡大といった優遇措置が受けられるようになっています。

優良団体とは、違法行為がないことはもちろん、技能評価試験の合格率やフォロー体制などをポイントで評価します。1度優良認定を受けていても、基準を満たさない場合は認定を取り消されます。

技能実習生の保護

技能実習法によって、技能実習生は保護されるようになりました。技能実習を強制したり、違約金を設定したり、パスポートなどを取り上げて保管する行為は、明確に禁止されています。

技能実習生は、こうした違法行為を受けた場合に通報・申告できます。

技能実習生の受入れ方式は

外国人の技能実習生を受け入れるには、企業単独型と団体監理型の2つがあります。

企業単独型

海外に子会社を持っている企業が、海外子会社から実習生を受け入れるケースは企業単独型です。

他にも、取引実績が1年以上ある海外の企業から受け入れる、年間10億円以上の取引実績がある海外企業から受け入れるといった方法もあります。

企業単独型で技能実習生を受け入れる場合、監理団体を通さないため費用が抑えられます。

一方で、企業側が入国の手続きや技能実習計画の作成、技能実習生へのフォローなど全てを行う必要があるので、ノウハウがない企業はかなり手間がかかります。

団体監理型

団体監理型は、商工会や事業協同組合などの非営利団体が外国人実習生の受け入れを行い、組合に加入している企業で実習を行う方式をとります。

在留資格証明申請や実習計画の作成指導などを監理団体が行います。コストはかかりますが、難しい手続きを監理団体が代行してくれる点が魅力です。

技能実習生を受け入れ可能な団体は

技能実習生を受け入れ可能な業種・職種は以下の通りです。

  • 農業関係(2職種6作業)
  • 漁業関係(2職種10作業)
  • 建設関係(22職種33作業)
  • 食品製造関係(11職種18作業)
  • 繊維、衣服関係(13職種22作業)
  • 機械、金属関係(15職種29作業)
  • その他(20職種37作業)

注意しなければならない点が、職種によって指導作業の必須項目がある点です。職種ごとの必須作業条件をクリアして、初めて技能実習生が受け入れ可能になります。

また技能実習生には「単純作業」はさせられないので覚えておきましょう。

  • 同一作業の反復のみで修得できるものではない
  • 開発途上地域への技術移転、経済発展に寄与できる技能である

これらに当てはまらないものは、受入れ対象外なので気を付けましょう。

技能実習生は経済が成長途中の母国へ、日本の技術を持ち帰り発展に活かすことを目的として創設されました。

そのため、単純労働であったり、技術が修得できなかったりといった仕事には従事できません。

技能実習生を受け入れるまでの流れ

一般的な監理団体を通して、技能実習生を受け入れるまでの大まかな流れは以下の通りです。

制度の説明、組合加入

外国人の技能実習生を受け入れたい場合、監理団体に申し込みを行います。

専門スタッフが訪問し、制度の説明をしたり、職種に適合性があるか、受入れ計画はどうなっているのか、企業の決算報告などを聞いたりして調査を行います。

その後、審査を経て監理団体と企業が実習監理にかかる契約を結びます。

実習生を募集し現地で面接する

候補者を募集し、現地で面接を実施します。面接では、受け入れ企業の経営者や現場責任者が現地へ赴くことがほとんどです。

各種手続きを行う

外国人技能実習機構へ技能実習計画の認定申請を行う、認定されると地方出入国管理局で在留資格認定証明書交付の申請を行う……こうした入国および在留資格に関する各種手続きを進めます。

ビザの発給、実習生入国

いよいよ実習生が入国し、技能実習生として働き始めます。とはいえ、入国後は監理団体などで日本語、日本文化、法律について学び、その後受け入れ企業へ配属されます。

まとめ

外国人技能実習制度は、日本で技術や知識を身につけ、経済的に成長途中である母国で、日本で培った技術や知識を活かして経済成長に貢献する人をつくる「ひとづくり」のための制度です。

そのため、単純作業や技術や知識の身に付かない職種や業種で受け入れることはできません。

企業で技能実習生を受け入れたいと検討しているなら、監理団体へ一度相談してみるといいでしょう。

関連記事

カテゴリー

アーカイブ