「ベトナム在住VIT Japan猪谷氏に聞く技能実習生事情」シリーズ第9弾。

今回は、ベトナム人の特性やあるあるなどについてお話を伺いました。

取材者

日本でベトナム人労働者も増える中で、これから雇う側としてはどういった特徴を持つ民族なのかを知りたいかと思いますので、教えてください。

猪谷氏

ベトナム人と接していて一番感じる事は「頑固」だということですね。日本でも頑固な方はいらっしゃいますが、比にならないですね(笑)

優秀な方ならともかくとしても、そうじゃない方も全く自分の意思を曲げないので、雇用する側としては扱いにくい以外の何者でもないです(汗)

雇用してる側の注意点としては、ベトナム人が「家族の事情で会社を辞める」と言ったらどんな説得をしようと変わることはないという点です。

そこもやはり頑固なので、一回そうと思ったら曲げることはないです。

そして、一緒に仕事をする上での注意点としては、彼らは指示されるのを嫌がる傾向にありますので、できるだけ好きなようにさせてあげることが大切という点です。

仕事をしてるわけなのでなかなか難しくはありますが、あまり彼らのやり方を否定するような事を言ってしまうと、途端にやる気がなくなってしまうこともあります。

技能実習生で軍隊上がりの人が評価されるのは、軍隊で人に指示されて動く訓練をされているから働かせやすいのだと思います。

取材者

そうなんですね。ベトナムは歴史的にも近代に至るまで様々な戦いがあったりと大変な部分があったので、その影響が特性に現れたりもしてるんですかね。

猪谷氏

そうですね。基本的にベトナム人は短期的思考です。長期的に物事を考えて最良の選択をするというよりは、今目の前の得を取るという考え方が強い傾向にあります。有名な話ですが、「ベトナム人に今日100円と明日1000円どっちが欲しい?」と聞くと「今日100円欲しい」と答えるという話ですね。明日には国がなくなってしまうという経験をしてるのが親世代で、その親から子どももその思考を色濃く継いでいるのかも知れないですね。なので「あと1年働いたらボーナスがもらえるよ!」という言葉なんかはベトナム人には響かなかったりします。目の前のSNSに書いてあるうまい話に飛びついて結局は損をしてしまうという技能実習生がまさに短期的思考の表れとも言えると思います。釣り広告に載せられて、日本で逃亡扱いとなり、強制帰国なんてこともありますからね。

取材者

ベトナム人は詐欺にひっかかりやすそうで怖いですね(汗)特殊詐欺みたいなのはベトナムでも蔓延してたりするんですか?

猪谷氏

詐欺自体はありますが、特殊詐欺グループみたいなのは、ベトナムの公安がちゃんとしてるというのもあって、割とすぐに検挙されてしまうんですよ。なので、蔓延する前に捕まってしまっているのだと思います。なので、特殊詐欺行う人達は基本カンボジアに拠点構えてベトナムに向けて連絡を行ってます。

取材者

きちんと取り締まられてるのはいいことですね。詐欺自体はいると思うので、普通に観光とか仕事とかで訪れる際には気を付けなきゃですね。

猪谷氏

そうですね。未だに私の周りでも身ぐるみはがされるような話は聞きますね。ベトナム人、特に男性はとてもシャイなので、初対面でペラペラ話しかけてくるような人がいたら基本的には詐欺師だと思ってもらってもいいくらいだと思いますよ。

人材を採用する時も、面接でペラペラ喋る人の方がコミュニケーション能力高そうに感じますが、実際は長続きしないという話もあります。

特にエンジニアや技能実習生の男性は話すのは上手じゃないけど、寡黙に仕事をこなします!という人の方が、仕事で成果を挙げる傾向にありますね。

取材者

そうなんですね!確かに、きちんと受け答えしてくれる人の方が面接官としては好印象ですが、ベトナム人を面接するとなると、違ったりもするんですね。ちなみにベトナム人の宗教観ってどんな感じなんですか?

猪谷氏

ベトナムは仏教徒80%、キリスト教徒15%、残りはその他の宗教という感じですね。インドネシアのようにイスラムが多いとかではないので、就業中にお祈りの時間を設けなければいけないといった話を聞くことは今までなかったです。強いていうなら、ベジタリアンの方はいらっしゃるので、そういう方がいらっしゃる時には、一緒に食事に行く際にお店選びに配慮が必要になったりするくらいですかね。宗教的な大きな違いが少ないということもあって、日本政府もベトナムから技能実習生をできる限り採用をと考えているのかも知れないですね。

取材者

なるほどですね。本日もベトナムについて詳しく教えていただきまして、ありがとうございました。

株式会社VIT Japan 代表取締役
猪谷 太栄  (Inotani Takahide)

大学卒業後、関西の大手私鉄会社に就職。その後、ベンチャー企業支援コンサルタントに転職し、アジアへの進出支援、ビジネスマッチングイベントのプロデュースも行う。2005年、上海起業家登龍門、2007年にホーチミン起業家登龍門をプロデュース。その際、ベトナムの成長可能性を大きく感じ、2010年3月株式会社VIT Japan設立。以来ベトナムにて活動中。