外国人を採用しようとして在留カードを確認したところ、「特定活動」という記載がありました。
この場合、採用できるのでしょうか?
結論から申し上げますと、お仕事の内容がそれぞれの外国人に指定されている活動の範囲内であれば採用する事はできます。
在留カードとは?
在留カードは、中長期在留者に対し、上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるものです。
※ 在留カードには,偽変造防止のためのICチップが搭載されており,カード面に記載された事項の全部又は一部が記録されます。
外国人を採用する際に在留カードで確認すべき点
在留カード表面の「就労制限の有無」欄
- 「就労不可」の記載がある場合、基本的に採用することはできませんが、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」を確認しましょう。
- 一部就労制限がある場合は、制限内容について確認しましょう。次のいずれかの記載があります。
(1)「在留資格に基づく就労活動のみ可」
(2)「指定書により指定された就労活動のみ可」
(在留資格「特定活動」)
※(2)については法務大臣が個々に指定した活動等が記載された、指定書を確認するようにいたしましょう。
- 「就労制限なし」の記載がある場合は就労内容に制限はありません。
在留カード裏面の「資格外活動許可欄」
上記で書いたように、「就労不可」の記載がある場合、基本的に採用することはできませんが、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に次のいずれの記載がある方は,就労することができます。
ただし、就労時間や就労場所に制限があるので、注意が必要になります。
(1)「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
(2)「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
((2)については資格外活動許可書を確認しましょう。)
偽造在留カードに注意
いけないことですが、偽造在留カードを利用しているケースもあるので確認する必要があります。
実在するカードの番号のみを悪用した偽造在留カードもありますのでご注意下さい。
また、在留カードが失効していないかオンラインで確認することもできます。
▼出入国在留管理庁 在留カード等番号失効情報照会
https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx
在留資格の「特定活動」とは?
在留資格とは、外国人が日本に在留する間、一定の活動を行うことができること、または、一定の身分や地位を有する者としての活動を行うことができることを示す、『入管法上の法的な資格』のことです。
外国人は、この法的な資格に基づいて日本に在留し、日本で活動することができます。
在留資格には就労関係と身分関係のものがあり、全部で29種類あります。
これらの在留資格に該当しない活動の受け皿として、「法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格」のことを「特定活動」と言います。
この「特定活動」があることによって、政府は「出入国管理及び難民認定法」を改正することなく、日本に在留可能な活動の種類を増やすことができます。
「特定活動」で認可される代表的な活動例として「インターンシップ」や「ワーキングホリデー」が挙げられます。
「特定活動」の種類
- 出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動
- 告示特定活動
- 告示外特定活動
これら3種類の「特定活動」が、さらに細かく分かれております。
出入国管理及び難民認定法に規定されている特定活動
- 特定研究活動
- 特定情報処理活動
- 特定研究等家族滞在活動及び特定情報処理家族滞在活動
告示特定活動
- 1号:外交官・領事官の家事使用人
- 2号の1:高度専門職・経営者等の家事使用人
- 2号の2:高度専門職の家事使用人
- 3号:台湾日本関係協会の在日事務所職員とその家族
- 4号:駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族
- 5号の1:ワーキングホリデー
- 5号の2:台湾人のワーキングホリデー
- 6号:アマチュアスポーツ選手
- 7号:6号のアマチュアスポーツ選手に扶養されている配偶者あるいは子
- 8号:外国人弁護士
- 9号:インターンシップ
- 10号:イギリス人ボランティア
- 12号:短期インターンシップを行う外国の大学生
- 15号:国際文化交流を行う外国の大学生
- 16号:インドネシア人看護研修生
- 17号:インドネシア人介護研修生
- 18号:16号のインドネシア人介護研修生の家族
- 19号:17号のインドネシア人介護研修生の家族
- 20号:フィリピン人看護研修生
- 21号:フィリピン人介護研修生(就労あり)
- 22号:フィリピン人介護研修生(就労なし。)
- 23号:20号のフィリピン人看護研修生の家族
- 24号:21号のフィリピン人介護研修生の家族
- 25号:医療・入院
- 26号:25号で治療を受ける者の日常生活の世話をする活動
- 27号:ベトナム人看護研修生
- 28号:ベトナム人介護研修生(就労あり)
- 29号:ベトナム人介護研修生(就労なし)
- 30号:27号のベトナム人看護研修生の家族
- 31号:28号のベトナム人介護研修生の家族
- 32号:外国人建設就労者
- 33号:在留資格「高度専門職」で在留している外国人の配偶者の就労
- 34号:高度専門職外国人あるいはその配偶者の親
- 35号:造船労働者
- 36号:研究・教育者あるいは、研究・教育に関する経営者
- 37号:情報技術処理者
- 38号:36号、37号の活動で在留する者に扶養される配偶者又は子
- 39号:36号、37号で在留する者あるいはその配偶者の親
- 40号:観光・保養
- 41号:40号で在留する外国人の家族
- 42号:製造業に従事する者43号:日系四世
- 44号:外国人起業家
- 45号:44号外国人の扶養を受ける配偶者又は子
- 46号:4年制大学又は大学院の卒業生でN1以上の日本語力を有する者
- 47号:46号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子
- 48号:東京オリンピックの関係者
- 49号:48号で在留する外国人の扶養を受ける配偶者あるいは子
告示外特定活動
- 日本に在留する外国人の方の高齢となったご両親や親の呼び寄せ
- 就職先が決まらないまま卒業した留学生の就職活動
- 在留資格更新が不許可となった場合の出国準備
まとめ
以上、在留カードに「特定活動」と記載されてる外国人は採用できるのかという問題に対して、結論と在留カード、特定活動についてご説明させていただきました。
外国人を採用する際の参考にしてみて下さい。