電子帳簿保存法の検索要件緩和とは?わかりやすく改正ポイントを解説します

ファイル交換安心君

2021年、電子帳簿保存法が大幅に改正されましたが、準備はできていますか?

2022年1月からは猶予期間が設けられていますが、2023年10月のインボイス制度スタート、2024年1月の電子取引情報保存義務化のスタートに備えて対策をしていないと、直前に思わぬトラブルになることもあります。

この記事では、電子帳簿保存法の復習から、改正されたポイントを整理して解説していきます。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、これまで紙媒体で保存していた契約書や請求書といった書類を電子データとして保存することを認めた法律です。

これまでは、帳簿や書類は原則として紙で保存することが定められていました。

しかし、紙媒体での保存は整理やファイリングに手間がかかり、保管にもスペースを使うなどコストがかかります。

他にも、電子データになっている書類を紙に印刷し直すといった作業が業務の非効率的にしていると指摘されるなど課題が多くありました。

そこで定められたのが「電子帳簿保存法」です。電子帳簿保存法は1998年の制定当初、適用を受けるための要件が厳しく普及が進みませんでした。

しかし、現在では段階的に要件が緩和されてきており、だんだんと企業が導入しやすいようなシステムに進化しています。

特に「検索要件の緩和」については、複雑で分かりにくかった制度がかなり緩和されているので確認してください。

2021年に改正された電子帳簿保存法4つのポイント

電子帳簿保存法の概要については、国税庁サイト「電子帳簿保存法が改正されました」で詳しく見られます。

ここでは4つのポイントに整理して解説していきます。

(画像引用元:国税庁サイト「電子帳簿保存法が改正されました」)

税務署長の事前承認制度の廃止

以前は、帳簿や書類を電子的に保存しようとすると、保存を開始する3ヵ月前までに税務署に届けるというルールがありました。

今回の改正で事前承認制度が廃止され、事前の準備に割く時間や作業が大幅に削減され、より取り入れやすくなりました。

適正事務処理要件の廃止

以前は、領収書をスキャンして電子データで保存するために、紙の原本を発行して、保管するよう義務付けられていました。

不正を防止するために、相互けん制の体制を構築したり、定期的に検査したりしなければならず、スキャナ保存の導入の妨げになっていました。

適正事務処理要件が廃止されたことにより、スキャナで読取った後は原本の破棄が可能になり、スキャナ保存を事業者が取り入れやすく改正されました。

タイムスタンプ要件の緩和

タイムスタンプとは、電子データが改ざんされていないことを証明するためのシステムです。

従業員が領収書などを受け取ったさい、受領後3日以内に自著しスキャナで読み取り後、タイムスタンプを付与しなければなりませんでした。

改正では、スキャンを行う期間が最長2ヵ月に延長され受領者の自著も不要となりました。

また、訂正や削除など改ざんできないシステムを利用すれば、タイムスタンプの付与も不要です。

検索要件の緩和

改正前の電子帳簿保存法では、検索要件の設定が電子帳簿・電子書類の種類によって異なる上に、範囲指定検索や組み合わせ検索に対応しなければならず、義業者側の負担が重くなっていました。

2022年からは、設定すべき検索要件が「取引年月日・取引金額・取引先」の3点のみとシンプルな要件へ変更されています。

また税務署職員によるダウンロード要求に応じられるのであれば、範囲指定検索や組み合わせ検索といった機能が不要になりました。

検索要件の緩和は、内容が複雑であると事業者からの声が多く聞かれた項目でもあります。

この緩和で、電子保存を導入しようと検討する事業者が増えることが予想されます。

電子帳簿保存法のペナルティは?

電子帳簿保存法の改正により、要件が緩和され多くの企業が導入しやすくなりました。

一方で、データの改ざんや隠ぺいといった不正行為も懸念されています。

こうした不正行為にはペナルティが課されるため注意しましょう。

例えば、スキャナで読取った電子データや電子取引データを改ざん、隠ぺいなどをした場合、通常課される35%の税に10%が加重されます。

電子帳簿保存法を無視し、法令に違反した場合は青色申告の承認取り消し、追徴課税、推計課税、会社法に則った過料の罰則といったペナルティが課せられます。

またタイムスタンプの付与を省く場合は、こうした不正行為のできないシステムを導入しなければなりません。

こうしたシステムの構築は自社で行うことが困難であるため、クラウドサービスの利用を検討した方がよいでしょう。

電子帳簿保存法の適用時期は?

電子帳簿保存法の適用は、2022年1月より始まっています。ただし、2023年12月31日までは猶予期間が設けられています。

2023年10月にはインボイス制度が始まるため、制度対応に向けて今から準備を始めましょう。

実際に導入を検討して、各社のサービスを検討、段階的に取り入れて最終的にシステムを導入・移行するためには半年ほどかかることが予想されます。

いつまでにスタートしなければならないのか、逆算して計画的に進めましょう。

まとめ

電子帳簿保存法は1998年の施工から段階的に緩和され、事業者が導入・運用がしやすいように変わってきています。

2022年1月から、税務署長による事前承認制度の撤廃、適正事務処理要件の廃止、タイムスタンプの要件緩和、検索項目の要件緩和と4つの項目が改正されました。

一方で、電子データの改ざんや隠ぺいに対するペナルティは強化されています。

「よくわからないから、まだいいや」と問題を放置していると、いざという時にトラブルにつながるものです。

電子帳簿保存法に則って正確に、効率的に業務を進めるためにも自社に最適なクラウドサービスを選びましょう。

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