
ベトナム在住VIT Japan猪谷氏に聞く技能実習生事情!
今回は、無一文での帰国を恐れる日本在住ベトナム人についてお話を伺いました。
再び日本で働かざるを得ないベトナム人達の実態についてもお伺いしております。

日本に技能実習等で来ているベトナム人が、無一文で帰るのを恐れているという実態があるようなのですが、これは本当なのでしょうか?

ベトナム人技能実習生が帰国すると、二つの問題があると言われております。
一つは、いくら稼いで帰られるのか。二つ目が帰って活躍する場があるのかという問題です。
順に説明いたしますと、いくら稼いで帰られるのかという問題については、ここ20年でのお金の価値の変化も関係してきます。
ベトナムは急激に発展し、物価が上昇しましたので(※1)、20年前でしたら技能実習を終えて帰国すると土地付きの家が建つくらいでしたが、今では場所によっては土地を買うことすらできず、事業始めるとしてもカフェすら開くことができないというくらい、日本との物価差が縮まりつつあります。
※1 参考
フォー(屋台): 20年前は70円程度 → 現在150円程度(約2倍以上)

なるほど。確かに物価差は大きかったですよね。無一文とまではいかないですが、以前は土地付きの家が建てられるくらいだったのに、今は土地も買えないくらいの金額となるとかなりのインパクトですね。日本に戻って再び働かなきゃいけなくなった人の背景には、その物価差とかも関係してくるんですか?

そうですね。一番の問題は、技能実習で日本に来て技術やノウハウ、スキルなどを身につけられていないという現状です。以前の記事でもお話させていただきましたが(※2)、食品加工工場などで単純作業のお仕事を3年していたとしても、ベトナム帰国後にそのスキルで高収入を得る事はできません。工場ワーカーはベトナムでも所得の低い仕事になってしまいますので、将来の稼ぎ方を決めるキャリア形成期間に日本に来て、高収入につながるスキルを身につけないまま帰国となると、日本に行くメリットが少なくなってしまいます。ベトナム国内で、日本での実習を終えてプラプラしてる人を目にするケースも少なくなく、物価差が縮まり思ったほど稼いで帰ってくることもないとなると、将来のキャリア形成も考え、技能実習で日本に行くってどうなんだろうと疑問を感じる声も見られます。
ベトナムに戻っても、日本で培ったスキルを活かした仕事が見つけられず、日本語レベルもN3くらいでしたらたくさんいますので、高所得を得るには至らず、そこに特定技能の話なんかが舞い込むと、日本に再び行って仕事をした方がいいという結論になるんですね。
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なるほどですね。確かに、日本でのスキル形成の問題はありますね。日本に戻って来て特定技能として働き続けるという形なのでしょうか?

そうですね。特定技能2号となると家族の帯同も可能になり、在留期間に上限がなくなるので、そのまま日本に定住しようと考える方も多いようです。最近では、住宅ローンを使って家を買うベトナム人も多いようです。日本に居れば、最低限の生活はできるので、日本に残る方がメリットがあるようです。
ベトナムに戻っても、日本で培ったスキルを活かした仕事が見つけられず、日本語レベルもN3くらいでしたらたくさんいますので、高所得を得るには至らず、そこに特定技能の話なんかが舞い込むと、日本に再び行って仕事をした方がいいという結論になるんですね。

確かに日本にいて生活ができるなら、その方がいいと考えますよね。家族の帯同がOKとなる特定技能2号まではそれなりの道のりがあると思いますが、その間家族は別々に暮らしているってことでしょうか?

その辺が今後の課題になってくるのかと思いますが、今はベトナムでは結婚適齢期が27~28歳、都心部では30歳くらいなります。スキル形成をしに日本に来てるとなると、あっという間に結婚適齢期になってしまうんですね。ベトナムは男系社会なので、親たちは家系を残すということで、みんな子ども達に結婚させようとします。一時帰国の間にたくさんお見合いさせられるなんて話もあるくらいです。今後、日本での技能実習生の課題の一つが、技能実習生の家族形成になるかと思います。

確かに技能実習生、特定技能の方々のライフステージの変化については考えていかないといけない部分ですよね。次回は、その辺のお話も伺えたらと思います。今回もありがとうございました。
株式会社VIT Japan 代表取締役
猪谷 太栄 氏 (Inotani Takahide)
大学卒業後、関西の大手私鉄会社に就職。その後、ベンチャー企業支援コンサルタントに転職し、アジアへの進出支援、ビジネスマッチングイベントのプロデュースも行う。2005年、上海起業家登龍門、2007年にホーチミン起業家登龍門をプロデュース。その際、ベトナムの成長可能性を大きく感じ、2010年3月株式会社VIT Japan設立。以来ベトナムにて活動中。


