Excelは便利だが、管理項目が増えるとリスクも高まる

外国人材の情報管理をExcelで行っている企業や監理支援機関は少なくありません。

Excelは導入コストが低く、誰でも利用しやすいというメリットがあります。一方で、外国人材の受入人数や管理項目が増えるにつれて、入力ミスや更新漏れ、情報の分散など、さまざまなリスクが生じる可能性があります。

特に2027年4月から始まる育成就労制度では、育成計画や教育記録、面談記録など、管理すべき情報がこれまで以上に増えることが想定されています。

本記事では、Excel管理で起こりやすい事故やトラブル事例を紹介しながら、リスクを減らすためのポイントについて解説します。

なぜExcel管理でトラブルが起こるのか

Excelは表計算ソフトとして非常に優れていますが、本来は複数人で継続的に情報を管理するための専用システムではありません。

そのため、

  • 手作業による入力
  • ファイルのコピー
  • メール添付による共有
  • 担当者ごとの管理方法の違い
  • 更新ルールが決まっていない

といった状況が重なると、管理ミスが発生しやすくなります。

受入人数が少ないうちは問題なく運用できても、人数や管理項目が増えるにつれて、運用負担も大きくなっていきます。

事例① 在留期限の更新漏れ

外国人材管理で特に重要なのが在留期限の管理です。

例えば、担当者が異動した際に管理ファイルの引き継ぎが十分に行われず、在留期限の更新予定が共有されないケースがあります。

また、Excelの更新を手作業で行っている場合、入力漏れや更新忘れが発生する可能性もあります。

期限管理は外国人材の在留資格に関わる重要な業務であるため、確実な管理体制を整えることが重要です。

事例② 同じ情報を二重入力してしまう

部署ごとにExcelファイルを管理していると、同じ外国人材の情報を複数のファイルへ入力することがあります。

その結果、

  • 住所は更新されているが電話番号は古いまま
  • 在留期限がファイルごとに異なる
  • 最新データが分からない

といった状況が発生し、どの情報が正しいのか判断できなくなることがあります。

事例③ 面談記録や教育記録が見つからない

面談記録はExcel、教育記録は紙、相談内容はメールというように、情報が複数の場所へ分散しているケースも少なくありません。

監査や社内確認の際に必要な資料を探すだけで多くの時間がかかり、業務効率が低下する原因になります。

育成就労制度では教育や面談の記録がこれまで以上に重要になるため、情報を整理して管理することが求められます。

事例④ Excelファイルの誤送信や情報漏えい

外国人材の情報には、

  • 氏名
  • 生年月日
  • 住所
  • 在留カード情報
  • パスポート情報

など、多くの個人情報が含まれています。

Excelファイルをメールに添付して共有する場合、送信先を誤ると情報漏えいにつながるおそれがあります。

また、USBメモリへの保存やローカルPCのみでの管理も、紛失や故障などのリスクを伴います。

事例⑤ 担当者しか管理方法が分からない

Excel管理では、担当者ごとにファイル名や保存場所、入力ルールが異なることがあります。

そのため、担当者が異動や退職をすると、

「どこにデータが保存されているのか分からない」

「更新方法が分からない」

という状況になり、業務が滞ってしまうケースもあります。

このような属人化は、継続的な外国人材管理において大きな課題の一つです。

トラブルを防ぐための対策

Excel管理によるリスクを減らすためには、次のような対策が有効です。

  • 管理項目を統一する
  • 更新ルールを明確にする
  • 定期的にバックアップを取得する
  • アクセス権限を適切に設定する
  • 情報を一元管理できる体制を整える

管理方法を見直すだけでも、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。

育成就労制度開始前に管理方法を見直そう

育成就労制度では、

  • 育成就労計画
  • 教育記録
  • 面談履歴
  • 日本語教育
  • 特定技能への移行状況

など、新たな管理項目が加わります。

そのため、これまでExcelだけで対応してきた企業や監理支援機関も、現在の管理方法が今後も適切かどうかを見直す良いタイミングといえるでしょう。

まとめ

Excelは手軽に利用できる便利なツールですが、外国人材の受入人数や管理項目が増えると、更新漏れや情報の分散、属人化などのリスクも高まります。

特に育成就労制度では、教育記録や面談履歴など継続的な情報管理が重要になるため、従来の運用方法だけでは対応が難しくなるケースも考えられます。

制度開始に向けて管理体制を見直し、必要な情報を適切に共有・管理できる仕組みを整えておくことが、業務効率化や適正な制度運用につながるでしょう。

※本記事は一般的な情報提供です。個別の手続は専門家にご確認ください。

参考・出典