行政書士法改正(2026年)のポイント

何が変わるのか(規制強化の概要)

2026年の行政書士法改正では、「無資格者による行政手続の関与」がより明確に規制されます。特に外国人の在留資格に関する手続は、行政書士の独占業務に該当する範囲が広く、これまで曖昧だった実務の線引きが厳格化される流れです。

従来はグレーとされていた業務についても、実質的に書類作成や申請代理に関与している場合は違法と判断される可能性が高まります。

なぜ外国人関連業務が対象になるのか

特定技能や技能実習の拡大により、外国人関連手続の市場が急拡大しています。それに伴い、無資格者による不適切な関与やトラブルも増加しており、制度の信頼性確保が求められています。

そのため、登録支援機関や監理団体が関わる業務も、法的な整理が進められることになりました。

登録支援機関・監理団体が注意すべき違法リスク

無資格者による申請書類作成の禁止

在留資格申請に関する書類作成は、原則として行政書士のみが行える業務です。たとえ善意であっても、企業や支援機関の職員が実質的に書類を作成している場合は違法となる可能性があります。

特に、「申請書を代わりに記入する」「内容を指示して作らせる」といった行為は注意が必要です。

コンサル・支援業務との線引き

登録支援機関は生活支援や相談対応が業務ですが、申請内容の具体的な作成指示や代筆に踏み込むと、行政書士業務に該当するリスクがあります。

「説明はOK、作成はNG」という線引きを明確に理解しておく必要があります。

名義貸し・実質代行のリスク

行政書士の名前を借りて実際の業務を無資格者が行う「名義貸し」は重大な違法行為です。また、形式上は関与していても、実務を別の者が行っている場合も同様に問題となります。

どこまでがOK?委託範囲と適法ライン

行政書士にしかできない業務

以下のような業務は行政書士の独占業務です。

  • 在留資格申請書の作成
  • 理由書や説明書の作成
  • 入管への提出書類の代理作成

これらは必ず有資格者に依頼する必要があります。

登録支援機関ができる業務

一方で、登録支援機関が適法に行える業務は以下です。

  • 生活支援(住居・銀行・携帯等)
  • 定期面談・相談対応
  • 制度説明や一般的な案内

あくまで「支援」にとどまる範囲が前提です。

グレーゾーンになりやすい業務

注意すべきは以下のようなケースです。

  • 書類の内容を具体的に指示する
  • 下書きを作成する
  • 申請内容を実質的に決める

これらは一見支援に見えても、実態によっては違法と判断される可能性があります。

違反した場合のリスクと実務影響

罰則・行政指導の内容

無資格で行政書士業務を行った場合、行政書士法違反として罰則の対象になります。加えて、行政からの指導や業務改善命令が出される可能性があります。

受入停止・許可取消リスク

外国人関連業務においては、コンプライアンス違反がそのまま受入資格に影響します。登録支援機関の登録取消や、企業の受入停止といった重大な処分につながるケースも想定されます。

信用低下と取引への影響

一度違反が発覚すると、取引先や監督機関からの信頼が大きく低下します。結果として、事業継続にも影響を及ぼすリスクがあります。

2026年までにやるべき対策

業務フローの見直し

まずは、自社の業務の中に「書類作成に該当する行為」が含まれていないかを洗い出すことが重要です。曖昧な業務は明確に線引きし、適法な範囲に修正する必要があります。

行政書士との適切な連携

申請業務は行政書士に委託し、役割分担を明確にすることが重要です。業務委託契約を整備し、責任範囲を明文化しておくことでリスクを回避できます。

社内教育とコンプライアンス体制

現場レベルでの誤認を防ぐため、社内研修やマニュアル整備が不可欠です。「どこまでがOKか」を全員が理解している状態を作ることが重要です。

まとめ|コンプライアンス対応が今後の前提になる

行政書士法改正により、外国人関連業務における「できること・できないこと」の線引きはより明確になります。

登録支援機関や監理団体にとっては、これまでの慣習では通用しない場面が増え、コンプライアンス対応が前提となる時代に入ります。制度を正しく理解し、適切な業務体制を構築することが、リスク回避と事業継続の鍵となります。

※本記事は、2026年4月時点の公開資料をもとに作成しています。

■ 参考・出典(一次情報)

  • 日本行政書士会連合会
    「行政書士業務に関する注意喚起(無資格業務)」
    https://www.gyosei.or.jp/
    (名義貸し・無資格代行の違法性)