
「ベトナム在住VIT Japan猪谷氏に聞く技能実習生事情」シリーズ第7弾。
今回は「優良な送り出し機関の選び方」について伺いました。
現地訪問が鉄則

優良な送り出し機関に巡り合うには、どのような点について気をつければ良いでしょうか?

一にも二にも現地を訪問する!という事が鉄則になります。
失敗される方の多くは、採用開始前に実際にベトナムを訪れて送り出し機関を視察した事がないという事も多いです。
あるいは、本決まりの状態で訪問したりしてるケースもあります。
そうではなくて、どこの送り出し機関にするか全く決めていないゼロベースで視察に行く事をオススメします。
実際に送り出し機関の学校などを訪れると、教育水準を見ることができます。
そうすると、あれ?日本行きまであと少しなのにまだこのレベルの日本語学習中なの?とか、疑問がわいてくる学校も出てきます。
さらには、寮のサイズが送り出してるはずの人数と合っていないケースもあり、それはきちんと学校で日本語教育(日本行き教育も)してない証拠で、例えば毎年300名送り出してるはずなのに30名分の寮しか完備されていないというのは実際に訪れて見ればわかる話です。
あとは、黒塗りの高級ベンツで迎えに来たり、レッドカーペットで職員、生徒総出でお迎えされたりした場合は、悪い気はしないかも知れないですが、それは明らかに技能実習生たちからベトナム政府が定めた3600USD以上よりも遥かに高い費用を取っている証拠でもあり、ビジネス相手としては止めておくことをオススメします。
送り出し機関の視察だけではなく、仲介者がいたりするとその方がトラブルの元になっていたりするので要注意です。
学校はあるけど遠い場所にあって視察できないみたいな理由をつけて訪問できない(実はまともに教育行ってない)というような、教育現場を見せられないような学校を紹介されるケースもあったりします。
そういったことは全て「訪れてみて」初めてわかることなので、現地訪問が鉄則です。

なるほど、やはり現地を実際に訪れてみないとわからないこともたくさんありますよね。
監理団体として送り出し機関の選定をする際、こういう送り出し機関はやめておいた方がいいという注意点はございますか?

営業電話をかけてくるような送り出し機関はやめておいた方がいいですね。
営業電話をかけてくる=新規を開拓しないと成り立たない=元々付き合いのあったところが離れていってる=あまりよくない送り出し機関、という可能性高いです。
確かに、設立したばかりの送り出し機関ですと、知ってもらうために営業をしなければなりません。
しかし、そうじゃない場合は、教育にきちんと力を入れているので、教育で精一杯だったり、送り出した後のアフターフォローで精一杯だったりで、営業なんかしてる時間がないというのが現実なんですね。
そもそも、良い送り出し機関ですと、その評判で別の受け入れ企業を紹介されたりもしますので、熱心に営業しなくても良かったりします。
教育に熱心な送り出し機関の寮を訪れると、ゴミ一つ落ちていなくて綺麗で、あちこちに張り紙がされてあって集団生活を行うための躾をされてます。
そこに関しても、先ほど述べたように現地を訪れるってことが大切になるのですが、営業電話をかけてくる送り出し機関は実際現地を訪問すると、きちんと教育が行われてないケースが多く、現地訪問の前にオススメできませんね。
猪谷さん、今回も貴重なお話ありがとうございました!この記事が、送り出し機関を選ぶ際の参考になると幸いです。
株式会社VIT Japan 代表取締役
猪谷 太栄 氏 (Inotani Takahide)
大学卒業後、関西の大手私鉄会社に就職。その後、ベンチャー企業支援コンサルタントに転職し、アジアへの進出支援、ビジネスマッチングイベントのプロデュースも行う。2005年、上海起業家登龍門、2007年にホーチミン起業家登龍門をプロデュース。その際、ベトナムの成長可能性を大きく感じ、2010年3月株式会社VIT Japan設立。以来ベトナムにて活動中。
